錺簪(かざりかんざし)を専門で作る唯一の職人。その美しい作品であるが“意味ありの粋な簪” 依頼主の思いを込めた物など実に見ていて飽きがこない。美しい簪を髪に飾った芸者の姿、艶っぽい簪を作って粋がっていた江戸の職人の姿さえ見ていると感じとれて楽しい。簪の中には笄(こうがい)なのか分かりにくい髪飾りもある。錺師の中には簪から貴金属一般を扱う
職人が多いがその点で親方はなかなか奇特である。下記の様に江戸を彷彿とさせる品も多く作っているが、和装全般をしっかりと意識していてきちんと目に留まる。親方に古簪の修繕をお願いした事もあるが、元の配置が判らない程に外れた各部品が元の位置につながれ、煤けた色も輝いて「良い品ですね」と言付かって戻って来た。流石に和芸能の舞台に簪を作る職人である。
特に金属質の簪は、沖縄の簪ジーファーのようなもので、武器を持てない場での護身用の意味でも挿していた。又、江戸時代の男性から女性へ最高の贈り物の定番のひとつであった。時代劇のひと場面でもお馴染みである。親方から『特別な注文製作も賜ります。』とのこと。早くて一ヶ月、仕事の段取りによってはそれ以上かかる場合もあるとのことである。