若い職人でありますが、作るものは実に巧であり華麗であります。錺簪を専門で行っているのは三浦氏ひとりであるかも知れない。錺簪を付ける日本髪対象者がいなくなってしまったことは実に残念である。注文は床山さんから来る。床山とは江戸時代からの職種名で、力士の髪や歌舞伎役者などの鬘(かつら)の髪を整えたり、鬘を管理したりする人、叉はその部屋付きの人を指す総称である。
過去の優れた簪をひたむきに再現している。実に大切な事であると思う。江戸の粋、江戸の洒落、深みと美しさや簪の奥深さが次第に分かってくると言う。
花見に行く時に付ける簪は、桜を散らし瓢箪徳利がついてストーリー性がある。芸者の持ち物であった。
簪のリアリティーを出すには、花飾りを例にとってもただ忠実に作ったのでは駄目だと言う。その雰囲気を学んでいくことが大切で、模倣再現することで数多くの発見をすると言う。歴史を超えて伝えられた錺職人の技のメッセージと先人達の心を読んでいく作業である。やがて自分の手許に技が集約されて積み重なって行く時、研鑽した技の延長線上に、素晴らしい自分の飾り簪が出来るはずである。
その日はそう遠くは無いと思える。三浦氏の簪は、歌舞伎の舞台や踊りなどの華やかな場で使われているが、簪の心を掴もうとする飽くなき追求心は、現状に止どまる事をしない。
職人としての姿勢は実にさわやかである。自分なりの簪を作る段階では、現代とマッチするものも考えられていくと期待をしている。願わくばこの簪を現代に活かす工夫について、名工会本部としても協力したいと思っているがどんなものであろうか。
■ 歴史 錺簪が華やかな雰囲気を持ち始めたのは江戸時代後期からです。それを再現しています。 |