職人の住む町
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現在親方は体調を崩し、職人の会等も辞めてしまい仕事を休んでいる。しかし今すぐにでも火が入らんばかりの状態にしてあり、仕事場は親方の復活の時をひたすら待っているといった感じであった。周囲の勧めもあって、仕事場をそのままにしている。お会いしてみると思いの外お元気そうで、そんなに仕事をしたいならばしていいと先生から許しが出たが、1日15分ぐらいと言われたと笑っていた。
沖田氏の金鎚は間違い無く日本一と言えるランクで、誂えの金鎚に対しては採算度外視の完璧主義、気に入るまで何度でもやり直す。特に焼入れは0.2秒の一瞬、早くても遅くてもダメということであった。その一瞬で硬さと美しい黒い光沢を出すという。
金鎚は正に美術工芸品の様子を呈している。このタイミングを掴むのに5年かかった。作っても納得がいかない金鎚は窓の外へ放り出してしまう。捨てられていた金槌は数えられるような半端な数では無かった。作業を映像で見せて頂いたが、開始すると真剣勝負、その気迫は画面から溢れんばかりであった。テレビに写る他の職人の使う金鎚を見て、自分のものだとハッキリ分ると言う。もちろん使っている職人達も一流であり、鍛金、彫金、錺職、など繊細なバランスを必要とする金鎚で多岐に及ぶ。
良い金鎚の条件は『金鎚の角が欠けない、減らない、叩いた時横ズレがない、ぶれないことで、もし僕の造った金鎚で手を打つような職人がいたなら不良品ですから無料で取り替えます。』との言葉が実に自然に響く。
彫金の名工 故 堀直久氏から頂いたという虎の絵を見せていただいたが、虎の毛並みの巧みさに驚き、昔の職人の確かさを見せつけられた。繊細な毛並みは沖田氏の金鎚で初めて可能であると思った。
沖田氏とこの掘氏の間に面白いエピソードがある。初めて親方が堀氏と合った時、ちょっとした考え方の違いから殴り合いの喧嘩をしたという。しかし、堀氏が親方の造ったお多福鎚を使って、初めて納得したとの事であった。
堀氏がテレビ取材の中で、一般に売られているものについては、ほとんどが使えないと語っていた。『沖田君はそれだけ神経を使って造っているということですよね。』とも語っていた。親方の金鎚を愛用する人達の中には、安藤泉氏や伊藤廣利氏など、沢山の著名な芸術家や名工がいる。
早く病気を克服して復帰される事を期待しています。沖田氏の金鎚に興味ある職人さんがいましたら親方にお聞きする事は可能です。

  私は修業を始めたのは16歳と思ってたら、私を知っている長老から10歳からやっていたよと言われた。師匠は父で、名人と言われていました。火造りを始めると気が散ると言う事から人を寄せつけない人でした。鍛冶屋としては大ゲンノウを造る鍛冶屋だったようです。
昔のゲンノウは柄が何種もあり付け替えて使うものがあったと言う事ですが、そのことは後に長老の大工さんが見た事があるといっていたので納得しました。柄の止めかたはクサビを打ち込まずに挿しただけで振ると抜けない要となっていたようです。こうした凄い技は消えてしまいました。ゲンノウとは建て前等の時組み立てで使った大きな金鎚です。
非常に厳しい師匠でした。あまりの辛さに家を飛び出したこともありました。24歳頃ですかね一通りやらせて貰えたのは。しかし何くそと思って頑張ってきました。厳しく仕込まれたから師匠の後を継げたと思っているよ。ともかく造った金鎚を見て、こんな作り方をしやがってと金鎚を土間に叩きつける師匠でしたが、それでも手をだすことはしませんでした。職人は手も道具で、絶対に道具で叩いてはいけないということでした。当然道具をまたいでも叱られました。修業して4年ほどで父と同じ道具を使わせてもらいました。
  自分で納得出来る金鎚以外は外に出さないよ。形、バランス、焼き、使い良さ全てを意識して造っている。他の人と比べようという気はないね。
 
  使われて初めて道具であり、信用は、結局使う側が9で造る人は1と考えろと父にいわれました。常に謙虚な心でいろとのことです。それゆえ造る側の1の部分は良い物を造りたいと常に心掛けています。
   

 

職人名 沖田勝信(おきた かつのぶ)
職人区分  
雅号又は銘 街の鍛冶屋
生年月日  
職種(種) 金づち
作品(アイテム) 金槌鍛冶
技数(積)
次代、素人から始めて手伝えるような状態になるまでの期間
難しい質問だね。
技の種類や工程
金鎚は2本一組で造る。鋼の地金を赤らめタガネで寸法に切る。
全ての作業は赤らめて行う。始めは片側を広げて“たたき口”を造る。次に反対の“からかみ”と呼ばれる側を造る。次に“要”(柄を取り付ける穴)であるが、目打ちタガネは、竹で挟んで正確にあける為の工夫を凝らしたものである。まず中心部を押し広げるように目打ちタガネで叩いていく。次に仕上として全体の形とバランスを整える。最後に要の穴をさらって火造りは終了。ヤスリで最終仕上をして焼入れとなる。焼入れはたたき口とからかみで13工程となる。
現在の立場(役) 生涯現役、但し今は待機中
次代 他  


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