職人の住む町
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大工や建て具師の間で鑿の“左市弘”知らない人はいない。1924年〜現在3代目。左市弘の鑿は熟達した技と勘、加えて科学的な裏付けで作られる。
例えば火造りの重要なポイント、焼きなまし、焼入れなど、処理の済んだ鋼の組織変化を顕微鏡で確認し、分子構造を克明に記録していく。大切な温度管理と材質の変化の関係を見る。この微妙な熱処理は、切れ味とどう関係するのか。名人の勘は火の温度も5度の狂いもないと言うが、調べた結果、天候、体調、気分などで違ってくる事も分ったと言う。又、感に頼らなければ出来ない微妙な技もあり、これらが互いに影響し合って失敗を繰り返すうち、原因が徐々に解明されたと言う。優れた職人共通の意識で使い良さの究極を目指す。機能を追求し続けると、その道具は美しさと優れたバランスをもたらす。その結果、形の調和、全体の美しさは左市弘ならではのものとなった。
余談であるが、ボーイング社のスタッフが教えを請うたという世界一の竹トンボを作る秋岡芳夫さんは、アメリカ航空宇宙博物館にもその作品が200個収蔵されているが、これら全てが“左市弘”の小刀で作られている。このように優れた技を科学する親方は、冶金学と技の両面を、東京工業大学など数校でも教えている。

  小学校3年から、弟の明倫氏と共に手伝いをさせられました。現在も兄弟鍛冶で左市弘を作っています。私は高校にどうしても行きたくて担任の先生から父を説得してもらいましたが、両方出来なければ辞めさせるとの約束で勉強しました。
修業中は一ヶ月間家から出ない時もありました。仕事が休みの日は鍛冶場が空いているので自分なりに練習できるから嬉しかったですね。今は尊敬出来るような鍛冶職人が昔のように身直にいない。それゆえ努力しなくては技を高めることが出来ません。と語る親方は冶金学に詳しく東京工大など幾つかの大学でも教えている。
初代市太郎は新潟で生まれた。当時、東京には有名な鍛冶屋が多かった。市太郎は尋常高等小学校を出てすぐ上京した。初代を継いだのは弟勇である。当代の父親である。2代目の腕も確かで、左市弘の銘が勝手に商標登録され、盗まれた事でも分る。3度もの転売をされながら当代と円満解決し、現在は親方の物だけに銘を使い、商標登録を持つ問屋が販売している。
  左市弘の特徴の1つに刃の裏すきがあります。焼入れ前に済ませます。ヤスリがけとトンボセンを使い形を整えます。裏すきもグラインダーなら一時間に50本は出来ますが、センでやるとなると2本が限界。因にセンは、現在刀鍛冶が刀を削る時に使う方法であり昔は小鍛冶全般(タタラ鍛冶の大鍛冶に対して細工をする鍛冶の総称)で使っていた道具であります。皿のように削れることからグラインダーですいただけの物とは異なります。
理由は長く使いやすく、いつまでも研ぎやすくすることを考えて行います。センがけは、膝、肘、足の指まで使います。焼入れは松炭で行い、これは刀と同じです。刀の玉鋼に似ている白紙の特徴は、作る時は難しいが、砥石にのって刃先が出しやすくしかも長切れします。 
 
  凄いと思う尊敬する昔の鍛冶屋は、鉋の千代鶴是秀です。一部は真似が出来ると思えますが、雰囲気というか、使い込んで初めて分る凄さや風格など、熟達した勘と職人技でこれだけのものを作る。ともかく目標のひとりです。
  職人の技を、今の時代の技で解明する積極的な方法でサポートして行きたい。

 

職人名 山崎正三(やまざき しょうぞう)
職人区分  
雅号又は銘 二代目 左市弘
生年月日 昭和13年1月3日
職種(種) のみ
作品(アイテム) 鍛冶屋(鑿、鉋、槍鉋、小刀)
技数(積)
次代、素人から始めて手伝えるような状態になるまでの期間
ありきたりながら10年から始まるといったところです。
技の種類や工程
道具ですから削る木によって、使い方によって材質や作り方を変えます。
製造工程は、まず鍛接という鋼と軟鉄を付ける作業をしますが非常に大切な作業です。
コークスで1000度以上にして一瞬のうちに行います。組織を密にする為に高温で叩きます。鑿の場合、鋼を地金に巻き込むように鍛接するものがあります。鑿の角を耳といい重要な部分ですが、巻き込みはここの部分にあたります。鑿は耳で切れという言葉があるほどです。次に結晶を整えながらヤスリをかけやすくする為に今一度柔らかくします。
ここでの温度管理はガス炉と電気炉で行います。コンピューター制御にしてあり、この炉も色々とアドバイスを参考に私が考えました。始めのガス炉は950度から5度づつ下げられます。酸化防止としてガスと空気量をコントロールできます。次に電気炉でゆっくりと冷まします。最終仕上を頭に入れて、鑿の形を整えます。裏すきはセンを使います。
焼入れは刃物に砥の粉と土を塗って780度〜800度で水冷、焼き戻しは油で150度〜180度温度計で確実に計って行います。地色は酸化被膜て被われ真っ黒になり丈夫です。
素材の炭素鋼は敏感でほんの少しの温度差で精度も性質も変わってしまいます。焼入れは水瓶の真上で全体の温度を均等に治める為に、ほんの一瞬ためがあり、それから水瓶に入れます。そして研ぎになります。白紙(鋼の種類、玉鋼に似ている。)の暴れやすい性質(焼入れ等で変型する。)を計算に入れた工夫があります。刃先の傾斜は付けず研ぎ出して刃を付けていきます。裏すきの部分が美しく、酸化被膜がそのまま残ります。
しかし出来上がってからはグラインダー処理を行わなわずに全て手で研いでいきます。
現在の立場(役)  
次代 他  
   


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