職人の住む町
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刃物作りの中で、非常に興味があったのが、鋸である。木挽き用の大きな前挽大鋸(まえびきおが)から細かい作業を行う小さな畔挽鋸(あぜびきのこ)まであり、どのようにして作るのか、どのようにして焼きを入れるのか。焼き入れの歪み等はどうするのか。
一般的な安い鋸は引っかけて切る感じが強いが、親方の鋸は小さな刃物が連らなっていて、それで板を切るという感覚である。鋸作りは、板取をしたら、これを打って形を引き延ばしていく。2枚以上で打つ。薄い板であり、温度が即下がってしまう為それを防ぐ一つの技法。上下を順に入れ替えながら厚さのバランスを取る。又、鋸は、単なる一枚の板では無い。根本は厚く、先に行くに従って薄く、一番先端はすっと盛り上がる。焼き入れをし、戻して(焼戻し)、歪みを取り、即、センがけをしてこの厚さに削る。時間はかけられない。
センとは鉄を削る道具であるが、正に鉋で削ると言った形の手作業で行われる。目立ては最後に行う。
この作業は一般的な鋸であるが、木挽き用の前挽大鋸の焼き入れは全く異なる。大きな鋸はまず火床に入らないし、全体を均等に過熱したり、歪みの問題もあり不可能である。
そこで、歯の一つ一つに焼きを入れていく。ペンチのような道具の先きを赤らめ、一つ一つの歯を挟みながら、刃先に熱を伝える。赤らめたら水で焼きを入れ、これをくり返しながら進む、名工会にも参加している木挽き職人 林以一親方の前挽大鋸の焼き入れも行う。一つ一つに技に工夫を必要とする刃物である。
5代目の鋸職人、大工さんなど、必要としてくれる内は続けるという。今、最も油の乗り切った50代の技が光る。昔ながらの鞴(ふいご)を使い、炭で火造りをする鋸鍛冶の形をそのままに様々な鋸を造る。叉、全国の宮大工などからくる修理もこなしていく。仕事場にはセンがけしたばかりの削り屑が山になっていた。グラインダーで処理すると地金の匂いが解らないと言う。
■ 歴史 江戸時代末期

  初めは別の仕事をしていたが、手造りの仕事をしたく、暇を見ては様々な職人を訪ねてみました。23才の時、結局、前に声をかけて頂いた4代目の中屋瀧次郎親方の下に師事しました。それから既に26年を越えています。
瀧次郎の銘の大きさを知ったのは弟子になってからでした。弟子入りして順調に学んでいた10年にも満たない頃、四代目が体調を崩して出来なくなった為、仕上がりを見せながらアドバイスを頂きました。10年で鋸造りの修行が一通り出来るはずもなく必死でした。
『まだまだうまくなるよ』『慢心するのが一番いけない』これで良しと言う言葉は一度もありませんでした。
  一つは、鋸鍛冶である事。昔からの形でやっている職人はほとんどいないはずです。一人とは言わないがほとんどいないと思います。それと江戸前の鋸は房州にしても、川越にしても鋸の中央に焼き模様を付けるのが特徴です。余談ですが、プロの鋸は引っかけて切るのでは無く、ナイフで切るようにカットして切れるのが本物の鋸です。
 
  絶対に手抜きをしない。
   

 

職人名 伊藤守(いとう まもる)
雅号又は銘 中屋滝次郎正義
生年月日 昭和28年8月3日
職種(種) 鋸鍛冶
作品(アイテム)
技数(積)
弟子入りしてから手伝えるような状態になるまでの期間
どの工程も手が抜けない。多分全ての鍛冶にいえると思うが、板を造ることは、そのまま技が出てしまう。先代達には及ばないと常に考えています。
技の種類や工程
金取ム荒打-コミ継ぎ(鍛接)-整形-焼入れ-焼き戻し-焼刃ならし-荒削り-センがけ-モロテ磨き-目立
現在の立場(役) 現役
次代 他  
   


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