職人の住む町
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江戸ブラシの流れを伝承する生っ粋のブラシ職人です。奥さんも又優れたブラシ職人で、仕事場で黙々と二人で作業をしています。52年間、毎日座りっぱなしの作業です。そこから繰り出される技は体の一部となり、血液のように自然に機能しているはずです。筋金入りの技は江戸職人としてかたくなに三代の誇りを伝え守ってきたものです。
プロであることと、日用品を作っている事の自覚は強く、ご夫婦ともども謙虚な姿勢が人柄に滲みでています。墨田区職人の中にあって区の無形文化財の指定を受け、下町の技を守る重鎮であります。
職人の歴史とは、誇りを相伝していく事です。下町の職人の誇りが親方にも身に付いており、その上で、日常的な製作や様々な新旧の特種ブラシに挑戦しています。特殊なものはあまり価格があわないはずですから、このへんは伝統の心意気でやっていると思われます。
特注ブラシのほとんどがリピーターであり『このブラシでなければダメだ・・』といって訪ねてくる。毎日忙しく仕事がある事がその腕を明確に物語っています。


  私は三代目です。初代は明治7年ですから江戸の雰囲気が残っている頃であります。
麹町で店を構えていたそうです。大正10年に今の江東区の清澄通りの所に来ました。
ブラシの歴史は浅く、ペリーが浦賀に来た1853年に、道具の調達の一つとして、同じものを江戸職人に作らせたのが始まりだと聞いています。確かにそれ以前は帚や藁束といったものでした。
従ってブラシが仕事として始まるのは4〜5年後と考え、開祖的な人が当然何名かいますが、私のおじいさんは明治7年ですから修業を始めた頃にはこうした人達もいたはずです。
私の所のルーツは東屋の屋号で樋口作兵衛と言う人です。どこの子供もそうですが、手伝わさせられました。親方であった父が亡くなったのは16才の時でしたが、技術的には既に一人前として手伝っていました。しかし、私が親方として先頭を走るには若過ぎて結構悩んだりもしました。
   
 
  昔から特注もの等も多く、注文にうまく応えられて、喜んで頂けることが一等良い訳ですから、常に良いものを作る気持ちで仕事に向かっています。
   

 

職人名 田中 久継(たなか ひさつぐ)
雅号又は銘  
生年月日 昭和12年10月28日
職種(種) ブラシ製造
作品(アイテム) ブラシ各種
技数(積)
弟子入りしてから手伝えるような状態になるまでの期間
毛を植え込むだけの基本作業は数年で覚えますが、私の所では約300種ぐらいありますから、一通りとなると5年ぐらいはかかります。しかし、毛の良し悪しの見分けから、様々な依頼をこなせる経験、そして入手ルートや業界の事など、やはり一人前になると言う事ですと結構かかると思います。
技の種類や工程
私の家は手植えブラシ専門です。最近は機械でも良いものが出来るようになってきていますが、やはり味が違います。特注の工業用ブラシは、用途に合わせて、油を指すブラシ、ゴミを払うブラシ、版画摺師用のブラシ、寿司の煮切り用ブラシ、各種の洗いブラシ、千社札用ブラシなどがあり、さらに水に強いブラシ、油に強いブラシ、薬品に強いブラシ、他にはデリケートな製品に使うやさしいブラシなどもあります。多分他では作っていないと思われるブラシもあります。もちろん生活用は靴用からボディブラシまで揃っています。ブラシに使う質の良い毛が最近少なくなりました。
北米、モンゴル、中国などの輸入物が主です。毛は豚と馬を目的によって使い分けます。
馬の毛はお湯などに強く、豚毛は硬く腰がありますが水に弱い性質があります。
現在の立場(役)  引退
次代 他  
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